研究概要 |
本研究では、Nal検出器が1個でジオメトリがベット型の場合について、種々の形状、サイズのファントム測定とシミュレーション計算を行い、全身カウンタ測定の校正において重要な役割を果たす要因分析を行い、シミュレーション計算による校正方法の妥当性・適用性の検討を行った。 1.ファントム測定実験:Nal検出器を体幹部上方(ベット表面から検出器下面までの距離:28cm)におき、ボックスファントム、BOMABファントムの各々につき、成人サイズ、幼児サイズの計4種類の測定を行い、検出効率に関する実験データを収集した。なお、測定した放射性核種はCs-137,K-40,Co-60およびY-88である。測定効率はBOX成人型→BOMAB成人型→BOX幼児型→BOMAB幼児型の順で測定効率が高くなるが、検出器がファントムを見込む立体角が、成人型よりも幼児型の方が、BOXよりもBOMABの方が、それぞれ小さいことと一致した。 2.EGS4計算結果の比較:シミュレーション計算コードEGS4内に、ボックスファントム、BOMABファントムを数学ファントムとして入力し、東大全身カウンタのジオメトリを再現した計算結果は、測定結果と数%の誤差でよく一致した。 3.身体部位別体内負荷量の算定方法の検討:被験者の体格とファントムの形状が異なる場合には、体格補正の必要性があり、体重、身長などの基本的な体格パラメータによる補正が有効である結果が得られた。しかし、成人型ファントムで幼児型ファントムを校正する場合のように、体格のずれがある程度以上大きい場合は、補正の精度が低下した。実際の被験者(人体)を校正する場合に、数学ファントムの設定方法(数式表現が可能な形状か、被験者の身体計測学的な特徴の把握方法および反映方法)が、今後の検討課題である。
|