研究概要 |
有機ハロゲン化合物により汚染された土壌・地下水の浄化を最終目的として、単離した有機ハロゲン化合物分解細菌が有する脱ハロゲン化酵素(デハロゲナーゼ)を精製し、その特性について検討をおこなった。また、本分解菌が持つデハロゲナーゼ遺伝子のクローニングを試みた。得られた主な結果は次の通りである。 1.2,4-Dichlorophenoxyacetic acid(2,4-D)を唯一の炭素源として生育した分解菌から粗酵素液を調製したところ、直鎖のハロ酸からの脱ハロゲン反応のみが確認された。また、活性染色によりそのデハロゲナーゼは1種類のみであることがわかった。 2/このデハロゲナーゼの精製を試みたところ、分子量68,500(Da)、サブユニット34,000(Da)のホモダイマーであることがわかった。また、至適温度は45〜50℃、至適pH9〜10であり、その基質特異性はブロモ酢酸、ヨード酢酸、2-クロロプロピオン酸、2,3-ジクロロプロピオン酸などの比較的炭素数の少ないハロ酸に対して活性を示すことがわかった。 3.本分解菌からその染色体DNAを抽出し、制限酵素Sau3AIで部分分解した。アガロースゲル電気泳動を行い、1〜10kbpの大きさをもつDNA断片をゲルから切り出したのち、これを精製した。あらかじめ用意しておいたプラスミドベクターpUC118にこのDNA断片を連結し、大腸菌JM109株に導入した。一般に大腸菌はブロモ酢酸存在下では生育できないが、デハロゲナーゼを有する大腸菌はブロモ酢酸存在下においても生育できるものと考えられたため、ブロモ酢酸に対して耐性を持つコロニーを検索した結果、目的とするコロニーが得られた。得られたコロニーからデハロゲナーゼ活性が検出されたため、現在プラスミドを抽出し挿入断片について検討している。
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