研究課題/領域番号 |
08780569
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
金森 審子 理化学研究所, 糖細胞情報研究チーム, フロンティア研究員 (00261173)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アセチルコエンザイム A / トランスポーター / O-アセチル化ガングリオシド / 発現クローニング / シアル酸のO-アセチル化修飾機構 |
研究概要 |
発現クローニング法によりcDNAの単離に成功した、O-アセチル化ガングリオシドの生合成を促進する分子(以後、AT-1と示す)の性質及び細胞内局在性について以下のように検討を進めた(ProNAS,発表予定)。塩基配列及びアミノ酸配列を検索した結果、AT-1は新規な分子であることがわかった。AT-1を遺伝子導入により過剰発現させることにより、細胞へのアセチルコエンザイム A(Ac-CoA)の取り込み量が顕著に増加した。この取り込み活性はCoAにより阻害され、AT-1がAc-CoAのトランスポーターであることが示唆された。他方、AT-1のアミノ酸配列から二次構造を予測した結果、少なくとも6箇所の膜貫通領域を含む分子であることや、ロイシン-ジッパーモチーフを一箇所含み、ダイマー(あるいはオリゴマー)として存在することが推測された。これらの特徴は、最近相次いで単離されている糖ヌクレオチドやアンモニウムイオン等のトランスポーターと共通するものである。また、抗ペプチド抗体を用いてAT-1の細胞内局在部位を調べたところ、小胞体に局在することが判明した。小胞体は脂質・タンパク質の生合成の場として重要であることは言うまでもない。ノーザンブロッティングの結果、調べた全ての臓器にAT-1のmRNAが発現されていることが示された。ところで、AT-1と相同性を示す分子が、線虫及び酵母にも存在し、共通の配列が非常に良く保持されていることがわかった。それらのタンパク質の機能は未知であるが、種を超えて保持され、かつ、AT-1のmRNAが全ての臓器に普遍的に発現されているということは、AT-1が生物に重要な分子であることを示すものにほかならない。これらの知見は、AT-1がAc-CoAのトランスポーターである可能性を強く支持している。現在、AT-1の生理活性のさらに詳細な解析及び、発現の細胞周期及び時期特異性の検討を進めている。
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