研究課題/領域番号 |
08780622
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今元 泰 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80263200)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 蛋白質高次構造 / X線溶液散乱 / フーリエ変換赤外分光法 / 吸収スペクトル / 光反応サイクル / プロトン移動 / 中間体 |
研究概要 |
紅色光合成細菌Ectothiorhodospira halophilaに見出された水溶性の光受容蛋白質であるPhotoactive yellow protein(PYP)は、高次構造が高分解能で解明されていることから、生物における光受容メカニズムを原子レベルで解明するために現在最も好適な蛋白質である。本研究では光受容蛋白質が光を吸収した時に起こる発色団や各アミノ酸残基の微環境の変化が、蛋白質の高次構造にどのような影響を及ぼすか解析した。 1.PYPの発色団のOH部分は、近傍のグルタミン酸、チロシン残基と相互作用(水素結合)して解離(脱プロトン化)し、それをアルギニン残基が安定化していることが示されている。そこでこれらの残基に変異を導入した変異PYPを作製したところ、水素結合ネットワークに含まれる残基に変異を導入すると吸収は長波長シフトしたが、アルギニンに変異を導入しても吸収変化は見られなかった。そのため、アルギニンはPYPの色調節には直接関与していないことが示された。 2.PYPの光反応サイクルでは、近紫外中間体(M中間体)が生成する。この中間体の振動モードをフーリエ変換赤外分光で解析したところ、M中間体の発色団はプロトン化しており、その対にあるグルタミン酸が脱プロトン化していることが明らかになった。そのため、M中間体の生成にともない、グルタミン酸から発色団にプロトンが移動すると考えられた。 3.PYPの分子の形状をX線溶液散乱で解析した。その結果、M中間体では慣性半径がやや増大しており、蛋白質の全体的な高次構造変化が起こっていることが示された。その原因は1で観測されたプロトンの移動による、水素結合ネットワークの変化であると考えられる。
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