研究概要 |
我々は,イオンチャネルの3次元構造と機能の連関を解明するために,チャネルタンパク,特に骨格筋Kチャネルの構造決定と,その単分子レベルでの機能解析を行った。骨格筋細胞には横行細管膜にCa依存性Kチャネルが、筋小胞体膜には巨大コンダクタンスKチャネルが存在しているが、すでにそのファミリー遺伝子が判明していることからまずCa依存性Kチャネルのクローニングを試みた。鋳型として日本白ウサギ(オス、2週齢)の後部脚筋の白筋から得たmRNAを用い、既に明らかになっているファミリー遺伝子の相同性の高い部分を指標として,RT-PCR法により目的の遺伝子産物を増幅した。上流,及び下流の遺伝子配列は5‘RACE及び3'RACE法を用いて,現在のところCa依存性Kチャネルαサブユニットの約4割、βサブユニットの約9割の遺伝子配列を決定している。 また,ラット大脳シナプス膜に存在する陰イオンチャネルを脂質平面膜に組み込み,チャネル活性に対する薬理学的解析を行った。その結果,このイオンチャネルは,通常の陰イオンチャネルブロッカー(DIDS,IAA,EA等)で阻害される他,細胞内のヌクレオチド(ATP,ADT,GTP)によってもブロックされることが分かった。さらに,神経伝達物質の効果を調べたところ,カテコールアミン系薬剤が強い阻害作用を示すことが分かった。また,ATP依存性Kチャネルの阻害剤として知られるグリベンクラミドが,細胞外側よりこのチャネルに対して阻害効果を示すことが分かった。
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