研究課題/領域番号 |
08780626
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
清水 敏之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンズ研究科, 助手 (30273858)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 核酸蛋白質相互作用 / X線解析 / 転写因子 / 三次元構造 / 出芽酵母 / ヘリックスループヘリックス / 結晶 |
研究概要 |
出芽酵母の転写調節因子PHO4は312アミノ酸残基からなり、二量体として細胞内のリン酸濃度の調節系遺伝子群を制御している。本研究は、この蛋白質のDNA認識機構を原子レベルで解明し、また転写因子の全体像を明らかにすることを目的としている。63残基からなるPHO4のDNA結合ドメイン(PHO4(63))とその認識配列(UASp2:17塩基)との複合体を結晶化し、2.8A分解能でX線結晶解析により立体構造を決定した。PHO4(63)は二量体でDNAに結合しbasic-helix-loop-helix(bHLH)構造をとっていた。PHO4の認識配列であるE-boxは6塩基からなるが、PHO4は次のような極めてユニークな認識をすることが本研究により判明した。即ち、1.PHO4はE-box以外にその外側の3'塩基(2残基)をも認識する。この結果はPHO4が認識する配列がE-box以外にも共通性がみられることと合致する。2.PHO4はロイシンジッパー型の蛋白質ではないにも関わらず、E-boxの中心部の塩基を認識している。これは、これまで報告されているbHLH型の蛋白質の認識機構とは全く異なっている。これ以外にも、ループ部分の一部がヘリックス構造をとって、コンパクトな構造をとっていることもPHO4特有のユニークな構造である。 一方全長のPHO4は培養条件並びに精製条件を検討した結果、界面活性剤を添加することによりかなり収率が改善することが判明した。今後はこの条件により結晶化可能な量(数十mg)の蛋白質を取得し、結晶化を行う予定である。全長の真核生物の転写因子が結晶可能な量とれる系はほとんど報告されたことがなく今後の展開に期待がもたれる。
|