研究概要 |
本研究では、グループIイントロン・リボザイム(以下GIリボザイムと略す)の機能構造の解明を目的とし、活性を特異的に制御し得る.RNAからなるトランス因子を実験的に同定し、その作用機構を解明することを試みた。具体的には実験分子進化法を用いた非天然型の活性化部位の人工的創製を含む.GIリボザイムを活性化する機能構造部位の同定、および分子生物学的手法を用いたそれら機能構造部位の作用機構の解明を行なった。その結果得られた成果を以下に説明する。 1.実験分子進化法を用いて得られたテトラヒメナ由来のGIリボザイムの非天然型活性化部位について、その二次構造および活性化機構を詳細に検討した。まずそれら活性化部位の二次構造を化学修飾試薬を用いて決定した。その結果、それらの活性化部位はいずれも野生型の活性化部位(P5abc)とは全く異なった構造を有していることが明らかとなった.次に競争阻害実験法を用いて,これら非天然型活性化部位が野生型の活性化部位と異なる機構で作用しているかどうかを検討した。その結果,これら非天然型活性化部位の中には野生型の活性化機構とは異なる機構でリボザイムを活性化しているものがあることが明らかとなった. 2.新規なトランス活性化因子であるP2.1の同定し,とその作用機能の解明を行なった.テトラヒメナ由来のGIイントロンを構成する構造単位中,その機能が明らかでなかったものについて系統的に検討を行なった.その結果P2.1と呼ばれる構造単位がトランスに機能する活性化部位であることが明らかとなった.興味深いことにこの部位はシスに作用する場合よりトランス因子として作用する方がより強い活性化能力を示すことが明らかとなった.
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