研究概要 |
TAK1はTGF-βのシグナル伝達に関与する新規のMAPKKKである。今回、Two-hybridスクリーニングにより、TAK1と相互作用する因子TAB1,TAB2を同定した。このうちTAB1はTAK1のキナーゼ触媒領域に、TAB2はC末側の制御領域に結合する。TAB1は、共発現によりTAK1のキナーゼ活性を上昇させること、およびTGF-β刺激に応答したPAI-1(Plasminogen activator inhibitor type 1)遺伝子の発現を促進することから、TAK1の活性化因子として機能すると考えられる。TAB1は504アミノ酸よりなるが、C末側68アミノ酸でTAK1との結合および活性化には十分である。この68アミノ酸には既知のタンパク質との相同性や機能を類推できるモチーフは存在しない。今後はTAB1によるTAK1キナーゼの活性化機構について解析する。また、TAK1のキナーゼ活性がTGF-β刺激により上昇することから、TGF-βレセプターからTAB1,TAK1の活性化に至る経路を明らかにする必要がある。また、MAPKKKであるTAK1の下流で機能するMAPKK,MAPKおよび転写因子を同定し、PAI-1遺伝子活性化の機構を明らかにしたいと考えている。
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