哺乳類オクルディンのクローニングと抗体の作製 ニワトリオクルディンとの相同性から、ヒト、マウス、イヌのオクルディンcDNAをクローニングし、一次構造を明らかにした。このうち、マウスオクルディンの細胞質領域を大腸菌で発現させ、これを抗原にしてラットモノクローナル抗体、ウサギ血清を調製し、3種の哺乳類オクルディンを共通して認識する抗体を作製した。 イヌオクルディンの変異分子、及びキメラ分子の作製 オクルディンの機能をドミナントネガティブに抑えることを目的に、様々な変異オクルディン分子を遺伝子工学的に作製した。作製した分子は、細胞外領域を別のタンパク質の一部と交換したもの、細胞外領域の一部を欠失させたもの、オクルディンにおいて種を越えて保存されているアミノ酸に変異を加えたものなどで、いずれもC末端に、認識のためのエピトープタグを結合させた。これらを強制発現させたMDCK細胞株を得て、細胞シートの電気抵抗の測定、電子顕微鏡による形態観察を行った。これまでのところドミナントネガティブな効果が得られていないが、さらに別の系でタイトジャンクションの機能変化の有無を調べている。なおこれらの細胞株において、細胞極性は正常のままであった。また、アンチセンスRNA発現ベクター、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるMDCK細胞のオクルディンの発現抑制を試みたが、いずれにおいても十分な発現抑制効果が見られなかった。 線維芽細胞におけるオクルディンの強制発現 オクルディンの機能解析に関連して、マウス線維芽細胞株L細胞にマウスオクルディンを強制発現させた結果、オクルディンが細胞間に濃縮すること、タイトジャンクション様構造が形成されること、ZO-1がオクルディンと共に局在することを明らかにした。
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