研究課題/領域番号 |
08780697
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
丸尾 文昭 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30199921)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 卵形成 / 幹細胞 / 細胞内極性 / 細胞間相互作用 / 細胞分化 / 生殖細胞 / シグナル |
研究概要 |
幹細胞は増殖性の未分化細胞であり、その不均等分裂で生じた一方の細胞のみが特定の分化経路に入ることで、永続的な組織産生を保証する極めて重要な細部である。幹細胞の維持(増殖)機構は、細胞外からのシグナル系と幹細胞自身の細胞内極性の両面から理解されるべき問題である。この制御機構の解明には、遺伝学的手法、分子生物学的手法を駆使できる系で、さらに細胞レベルで幹細胞に隣接する細胞の細胞種と幹細胞自身が同定されていることがたいへん有効である。ショウジョウバエの生殖幹細胞はこれらの条件の多くを満たしていたが、幹細胞の周辺の細胞種に関する知見が欠落していた。申請者は、細胞種特異的遺伝的マーカーの広範な解析から、ショウジョウバエの生殖幹細胞と隣接する少数の体細胞が今まで末記載の細胞種であることを発見し、またこの体細胞を中心とした幹細胞の極性が存在することを明らかにしてきた。これらの成果をふまえ、卵巣の生殖幹細胞は隣接する新発見の体細胞(AMC)との細胞間相互作用によって維持され、幹細胞としての不均等分裂を続けることができる、という作業仮説を立てた。本研究は、AMCで特異的に発現する遺伝子の機能を阻害した時に、生殖幹細胞の維持ができなくなるとことを示せば仮説が立証できると考え、計画された。AMCの細胞種特異的遺伝マーカーは、マーカー酵素遺伝子を組み込んだトランスポゾンの挿入を利用したものなので、トランスポゾンの再転移により挿入点周辺の遺伝子の突然変異を得ることができる。そこで、AMCの遺伝マーカー系統のトランスポゾン再転移により体系的に突然変異を誘発したところ、生殖幹細胞の維持に欠陥のある突然変異体を得ることに成功し仮説が立証された。遺伝解析の結果、幹細胞の維持機構には、隣接する体細胞(AMC)で発現する数種類の遺伝子座が関与するらしいことが明らかになった。
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