研究課題/領域番号 |
08780719
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
一條 裕之 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40272190)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 網膜視蓋投射 / トポグラフィックマップ / リモデリング / 神経回路網形成 / 共培養 / 液性因子 |
研究概要 |
網膜視蓋投射マップのリモデリング機構を調べるために、新しい共培養法を用いてトポグラフィックな投射パターンを再現した。耳側の網膜神経細胞の軸索はその標的である前側視蓋細胞の細胞突起の上で維持されたが、後側視蓋細胞の上では維持されなかった。今回の研究では、これが軸索の撤退誘導という新しい現象であることが示され、生体内でマップ形成のリモデリングに寄与することが示唆された。実験結果は以下の通りである。(1)この効果が視蓋細胞の分化に依存しているかを調べるために、網膜片を分化した視蓋の解離細胞と共培養した。この結果、特異的な軸索の撤退誘導によって投射パターンが再現されることがわかった。(2)この撤退誘導が液性相互作用か否かを明らかにするために条件付け培地実験を行った。この結果、分化した後側視蓋細胞が網膜軸索の撤退を誘導する因子を培地中に分泌する事がわかった。この分泌は一過性でリモデリングの時期と一致していた。また、この因子は熱に不安定な分子であるらしい。(3)撤退誘導因子を培地中に分泌する視蓋細胞の種類を明らかにするために細胞タイプのマーカーを用いて免疫染色を行い、撤退誘導因子とマーカーの発現を比較した。この結果、神経細胞または幼若なグリア細胞が候補として示唆された。(4)撤退誘導とrepulsive mechanismの異同を調べるために、撤退誘導因子とrepulsive factorsに対する感受性の網膜内の位置に依存した変化を比較した。この結果、網膜の感受性は撤退誘導については連続して変化したのに対して、repulsive factorsについては段階状に不連続な変化を示した。さらに、in vitroにおける撤退誘導因子とrepulsive factors(RAGS,ELF-1)の発現の時間的空間的パターンを、組織学的方法(RAP in situ)およびWestern blotで比較した。この結果、撤退誘導因子はrepulsive factorsの発現におよそ3日遅れて現れることがわかった。
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