研究課題/領域番号 |
08780742
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 秀和 大阪大学, 医学部, 助手 (70273638)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Phosducin / MEKA / Transducin / 視細胞 / 情報伝達 |
研究概要 |
phosducin/MEKA(phd)は脊椎動物視細胞に発現し、Transducin b,g二量体(Tbg)に一対一に結合する。Tbgは、視細胞外節膜上でのTransducin a(Ta)の活性化に伴い、Taと結合、遊離を繰り返し情報を増幅伝達するが、phdによって膜から細胞質に移動し、Taと再会合する確率が減少するため、情報伝達系の感度減少が生じることになる。 このようにTbgの膜と可溶性分画とのtranslocationがphdによってダイナミックに起こっているわけであるが、Tbgの膜との相互作用はTgを疎水性に修飾するファルネシル基とカルボキシメチル基に依存する。そこで我々は、phdがこの修飾部とどのように働きあっているのかを検討した。まず、Tbgの疎水性について検討した。TritonX114を用いた層分画法を施行すると、修飾をうけたTbgは疎水性分画から回収された。ところが、修飾を受けていず、視細胞外節膜との結合能を失っているTbgは親水性分画から回収された。Tbg-phd三量体は親水性分画に移動し、phdがTbgの疎水性を抑制することが示された。 次に、phdが直接Tgの疎水性修飾部に結合している可能性を検討した。ファルネシル基およびメチル基を欠損したTbgいずれもphdと強く結合することが、in vitroの結合実験で判明した。さらに、網膜内に存在するTbg-2と呼ばれる、修飾基の欠損したものが、実際にin vivoでphdと結合していることも確認することができた。従って、phdはTbgの疎水性修飾部とは直接結合しないと考えられた。 先に、我々はphdのTbg結合ドメインがアミノ酸17-105番目に存在することを同定したが、このドメインは、Tbgに結合するがその疎水性は変化させず、視細胞外節膜との結合も変化しないことがphdの欠損変異蛋白質を用いた層分画法ならびに視細胞外節膜結合実験によって明らかとなった。このことにより、phdの生理活性には、カルボキシ末端側も必要であり、同部分がTbgの疎水性を覆い隠し、視細胞外節膜との結合を阻害する結果となることが、結論された。
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