研究課題/領域番号 |
08780756
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
児島 伸彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (80215251)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | チロシンリン酸化 / トランスジェニックマウス / けいれん / NMDA受容体 / キンドリング / after-discharge |
研究概要 |
成熟脳におけるチロシンキナーゼFynの役割を知るために、前脳ニューロンにおいて正常型あるいは活性型Fynを発現するトランスジェニックマウスを作成した(以下正常型、活性型マウス)。活性型マウスはてんかん発作によって死亡しやすいことから、Fynの活性調節が脳の興奮性の抑制に重要であることが示唆されている。本研究では、これらのマウスにおける脳内のタンパク質チロシンリン酸化の変化とキンドリングの形態に焦点を当て、以下の結果を得た。 (1)両トランスジェニックマウス前脳において、5種類のタンパク質のチロシンリン酸化の亢進が同様に認められた。これらのリン酸化はFyn欠損マウス脳では逆に減弱しており、Fynの基質であると考えられた。 (2)その一つはNMDA型グルタミン酸受容体の修飾サブユニット2Bであることが同定された。 (3)扁桃核の電気刺激によって引き起こされるafter-dischage(AD)の閾値は正常型、活性型いずれのマウスにおいても野性型に比べ有意に低く、その持続時間はキンドリングを獲得した野性型のものと同程度に延長していた。 (4)正常型マウスでは、刺激の継続とともに行動上のけいれんが発展したが、キンドリング獲得時のADは初回時のもの以上に発展しなかった。またキンドリング獲得時のけいれんも野性型のものと同程度であった。これに対して活性型マウスでは刺激の継続によりADが更に延長し、けいれんもより重篤なものに発展した。 以上のように、Fynトランスジェニックマウスのキンドリングの形態は野性型とは異なっており、正常型、活性型マウスに共通してみられるAD閾値の低下、初回時のADの持続時間の延長はNMDA受容体のチロシンリン酸化の亢進による可能性がある。また活性型マウスにみられる重篤なけいれんは、Fynの活性調節がキンドリングにおけるニューロンの過剰興奮の制御に重要であることを示唆する。
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