研究課題/領域番号 |
08780788
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畠 義郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40212146)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 一次視覚野 / 可塑性 / 眼球優位性コラム / 生後発達 / ネコ / 長期増強 |
研究概要 |
大脳皮質一次視覚野では類似した性質を持つニューロンが皮質表面から白質まで、表面に対して垂直に配列し、機能円柱(コラム)と呼ばれる構造を造っている。眼優位性コラムの研究により、コラム構造は生後発達に伴って次第に形成されてくることが明らかとなったが、このコラム形成の過程は正常な視覚入力を必要とし、眼瞼縫合や人工斜視等の操作により異常な視覚入力を与えると正常なコラムが形成されないこともわかっている。しかし、これらの操作では、その効果を定量的に評価することが困難なため、どの程度の神経活動の変化あるいは同期性の変化がコラムの可塑性に影響を与えるかはわからない。そこで本研究では、テトロドトキシンで網膜の活動を全て遮断した状態で両側の視神経に電気刺激を与え、既知のパラメーターの入力によるコラム構造の変化を検討した。このことにより、視神経の活動が眼優位性コラムの形成や可塑的変化に重要な役割を果たすかどうかをより直接的に調べることができる。 生後4-5週の仔ネコを用い、片側の視神経束上に刺激電極を慢性的に留置した。また、両側の眼球にテトロドトキシンを注入し、網膜の電気活動を遮断する。この処置は、最終的に動物を灌流固定するまで二日おきに繰り返し、電気刺激以外の入力を完全に遮断した。覚醒時の動物に対して、シナプス長期増強を起こす刺激として知られているθバースト状の高頻度刺激を片側の視神経に約2-4日間慢性的に与えた。電気刺激の強さは、外側膝状体で記録される誘発電位が最大振幅となる強さとした。次に、視神経の電気活動が眼優位性の可塑性に与える影響を調べる第一段階として、視覚野ニューロンの眼球優位性を調べた。動物がテトロドキシンの効果から回復した後、視覚野ニューロンの光反応性を電気生理学的に調べたところ、光反応性が全体的に低下しているものの、慢性電気刺激を与えておいた方の眼により強く反応するニューロンが多い傾向が認められた。このことは高頻度刺激のような単純化された刺激によっても、視覚野の可塑的変化が誘発されうる可能性を示唆している。
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