研究概要 |
本研究で用いた注視点検出法は、顔の前方50〜70cmのところから,使用者に不感な近赤外線を眼に対し照射して、光源の角膜反射光と瞳孔像をビデオカメラで撮影し、実時間で画像解析を行い、両反射光の相対位置から視線方向を求める方法に基礎を置いている.この方法では、分解能を上げるために眼の像をズ-ムアップしてビデオカメラに捕らえる必要がある。そのため、カメラフレームから眼の像が飛び出てしまうような大きな頭の動きに関しては、カメラを回転させるか回転ミラーを使用するなどの方法により,頭(眼)を追尾し,角膜反射光および瞳孔像を常にフレーム内に収め,注視点を検出する必要がある. 本年度は,2次元に回転する1枚ミラーシステムを製作した.これには,ラジコン用のサーボモータを使用し,計算機から制御された.また,目までの距離も計測し,3次元空間内での目の位置を検出したうえで,介助機器を制御したり,会話をするためのメニュー画面上の注視点を検出した.目までの距離測定には超音波距離計を使用した.超音波センサから発射される超音波は,工夫によりカメラの光軸上を伝達する.超音波は回転ミラーを反射し,目に到達し,さらに目からの反射がミラーをもう一度反射しセンサに戻る.この方式は,従来の2枚の回転ミラーを使用した方式に比較して,超音波を使用する上で格段に有効なものとなった.即応性にも優れ,良い頭部追尾結果を得た.また,ミラーにより起こる像の回転を理論的に解明し,その補正を行った結果,頭部固定時ではあるが,15インチモニター上に描かれたキーボードのキ-を注視点により,選択できる程度の精度を得ることができた.
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