研究課題/領域番号 |
08780827
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
井奥 洪二 山口大学, 工学部, 助教授 (60212726)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | アパタイト / βーリン酸三カルシウム / 人工骨 / 生体材料 / セラミックス / 多孔体 |
研究概要 |
アパタイトおよびβーリン酸三カルシウムは、生体親和性に優れたリン酸カルシウム系セラミックスであり、骨充填材料等として既に一部実用化されている。特に、骨充填材料では、細胞の材料への進入を考慮して、多孔体あるいは顆粒が使用されている。しかし、現行の材料は気孔率が高く、強度特性に問題がある。 本研究者は、術後から新生骨が形成されはじめるまでの期間は一定の強度を有し、その後骨形成に有利な足場を多く供給する新しいタイプの骨充填材料を開発することを目的としている。本研究では、アパタイトとβーリン酸三カルシウムとの複合化に、生体内で気孔率の増加する最強度骨充填材料としての可能性を見出し、まず純粋なアパタイト多孔体とβーリン酸三カルシウム多孔性について、材料への骨形成と生体による材料の吸収について明らかにした。以下に、本研究の成果の要約を示す。 1.アパタイトへの骨形成は良好であった。術後約6ヵ月では、多量の骨形成が認められた。 2.アパタイトは、骨内ではとんど吸収されなかった。また、アパタイト材料への無機質の沈着(炭酸根を含有するアパタイト)の確認されたため、アパタイトは生体内に長期間残存する可能性が高いことが示された。 3.βーリン酸三カルシウムへの骨形成は良好であった。術後約1ヵ月では、多量の骨形成が認められ、アパタイトよりも骨形成速度が大きいことが確認された。 4.βーリン酸三カルシウムは、骨内で吸収されやすく、その吸収速度は、材料の微細構造に依存した。 5.アパタイトとβーリン酸三カルシウムを複合化することによって、骨形成速度と材料の吸収される速度を制御すれば、生体内で気孔率の増加する高強度骨充填材料を作製できる可能性があることが示された。
|