研究課題/領域番号 |
08835003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
咀嚼
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (50218723)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 下顎半側切除 / 顎運動 / クレンチング / 咬合採得 / 咬合支持点 / 回転 / 安定点 / 平衡点 |
研究概要 |
顎顔面領域で舌や口底部等、下顎周囲の腫瘍により下顎骨を切除した症例は、下顎の左右対称性が失われ、機能時にきわめて不安定な運動様相を呈する。中でも下顎骨半側切除を強いられた症例では、下顎は付着筋に索引されて切除側へ著しく偏位・回転し、上下顎の歯列が矯正に咬み合わなくなり、また噛みしめ時には健側の咀嚼筋が優位に作用するため、咬合接触点を支点として下顎が健側に回転し、咀嚼機能に多大な障害を与えることになる。 こうした症例の補綴処置の際に術者が最も苦慮する点は、咬合採得の際どのような顎位に誘導し、どの程度の力で咬合させるかにある。そこで本研究では、下顎半側切除患者が噛みしめの際、下顎骨がどの様な運動様相を呈するかを立体的にとらえ、分析、検討した。被験者には腫瘍摘出術により下顎の連続性の欠如した左下顎半側切除症例3名を選択した。下顎運動の計測には6自由度顎運動測定器MM-JI-E(松風社製)を用い、咀嚼時およびクレンチング時の下顎の回転、偏位を解析した。 その結果、クレンチング時に下顎は咬合支持点を中心とする回転運動を行い、支持点を残存歯列上のどの部位に設置しても常にその回転方向は一定であることが分かった。また、下顎の回転量が最小となる咬合支持点は必ずしも下顎の残存歯列上の重心とは一致せず、むしろ矢状面上で上顎の第一大臼歯付近に集束し、頭蓋顔面部の咀嚼筋起始部の位置と相関の強いことが推察された。 以上より、下顎半側切除症例における下顎の安定点、平衡点は、上顎第一大臼歯部の対合部付近に存在し、臨床における咬合採得への適用の有用性が示唆された。
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