研究課題/領域番号 |
08836001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
光生物学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 正美 筑波大学, 物質工学系, 講師 (70234846)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 光合成 / 亜鉛型クロロフィル / クロロフィル / バクテリオクロロフィル / 光合成反応中心 / 反応中心 |
研究概要 |
太古の地球では様々な金属を中心金属に有するポルフィリン化合物で光合成が進行していたと想像される。ところが、現在天然に存在するクロロフィルの中心金属は、例外なくMgである。血液のようにFeで機能しているクロロフィルは見出されていなかった。 これまで我々は、天然のクロロフィルの中心金属がMgである必然性を明らかにすることを目的とし、中心金属を他の金属で置換したクロロフィルを合して、その物理学的特性を系統的に比較・検討し、Mg-クロロフィルは全ての面で優れているわけでないことが示した。例えば、「光→電子」変換効率では、MgよりもCuの方が遙かに効率が高い場合がある。また、Znにいたっては、全ての特性に於いてMgとほぼ同じであり、Zn-クロロフィルが天然に存在しないのが不思議なくらいであった。 ところで最近、酸性条件下で生息する細菌がいくつか発見された。このような酸性下では、クロロフィルのMgは容易に脱離(フェオフィチン化)するため、Mg-クロロフィルでは機能し難いと予想される。逆に、このような条件下ではZnはイオンとして存在するために体内に取り込み易く、またMg-クロロフィルに比べて酸性に対する耐性が高いと期待される。そこで、Zn-クロロフィルとMg-クロロフィルとを分離定量できるHPLC系を構築し、好酸性バクテリアのひとつであるAcidiphilium ruburumの色素分析を行ったところ、Znバクテリオクロロフィルaを発見した。光化学的測定により、このバクテリアが光電荷分離を行っていることも明らかとなり、Mg以外の金属を有するクロロフィルで駆動される初めての光合成生物であることが証明された。 この発見により、光合成をより広い観点から見つめ直すことが必要であることが啓示された。
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