研究課題/領域番号 |
08836010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
光生物学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
蟻川 謙太郎 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (20167232)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 色覚 / 光受容 / ロドプシン / 昆虫 / 蛍光 / 複眼 / ランダム / レチノール |
研究概要 |
本研究は、動物の色覚神経機構を解明する研究の一環として、アゲハ複眼における個眼の多様性を検証した。特に、含まれる色受容細胞の種類による個眼の分類を試み、異なるタイプの個眼が複眼中でどのように配列しているかを調べた。その結果、以下の諸点が明らかになった。 複眼の無染色切片の光学顕微鏡観察により、個眼には光受容部位の周囲に赤あるいは黄の色素顆粒が存在することを発見した。"赤"個眼と"黄"個眼はランダムに混ざって分布していた。視細胞の分光感度を測定した後、細胞内に色素を注入して細胞が局在する個眼の色素を調べたところ、赤個眼には例外なく赤、黄個眼には例外なく緑の受容細胞が存在することがわかった。 一方、複眼を紫外線落射照明下での観察から、強い蛍光を放つ個眼があることを発見した。蛍光を放つ個眼はやはりランダムに分布していた。個眼蛍光を顕微分光したところ、スペクトルはアゲハ複眼に多量に含まれる3ヒドロキシレチノール(3OH-ROL)の蛍光スペクトルと酷似していたため、蛍光は3OH-ROL由来と推定した。そして、3OH-ROLが個眼内でフィルターとして働いていると仮定すると、紫受容細胞の異常に細い分光感度特性は、紫外受容ロドプシンが3OH-ROLのフィルター効果を受けた結果として説明できることがわかった。これを確認するため紫受容細胞をルシファーイエロ-で染色し、染色された個眼と個眼蛍光の関係を調べた。実際、紫受容細胞は蛍光個眼に、紫外受容細胞は非蛍光個眼に入っていた。 以上より、アゲハ網膜では少なくとも紫外、紫、緑、赤の受容細胞が、ランダムに分布していることが明らかになった。これは色覚の機能と深い関係にあるものと推定される。
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