研究課題/領域番号 |
08836012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
光生物学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
榎並 勲 東京理科大学, 理学部, 教授 (40084305)
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研究分担者 |
太田 尚孝 東京理科大学, 理学部, 助手 (40223838)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | チアニジウム / チラコイド膜 / プロトンポンプ / cyclicな光リン酸化反応 / NADPH酸化成分 |
研究概要 |
酸性温泉に生息する単細胞の紅藻チアニヂウムは、強力なプロトンポンプを働かせる事によりその細胞内pHを中性に保持し、強酸環境下での生育を可能にしている。このポンプを駆動させるためには過剰なATPが必要となるが、それは光化学系I経由のcyclicな光リン酸化反応により供給されていると考えられている。従って、この藻のチラコイド膜を材料に用いると、これまで葉緑体チラコイド膜では検出されてないcyclicな光リン酸化反応に関与する蛋白成分が同定できる可能性が強い。そこで、本研究では、チアニヂウムのチラコイド膜からNAD(P)Hを酸化する蛋白成分を検出し精製するとともに、その成分の性質を明らかにする目的で行い、次の結果を得た。 1)チアニヂウムのチラコイド膜をデオキシコール酸(DOC)で可溶化してくる成分をDOC PAGEにかけ、NADPH_2を用いて活性染色すると2本のバンドが検出された。この活性バンドは、チラコイド膜をNaBrで洗浄しても全く影響されなかった。従って、このバンドはFd-NADP reductase(FNR)ではないNADPH酸化成分であると考えられる。 2)チラコイド膜のDOC可溶化成分を2回のDEAE Sepharose CL6Bカラムにかける事により精製した。精製した標品のNAD(P)H-ferricyanide oxidoreductase活性を測定した結果、NADPHにのみに特異的に反応しNADHとはほとんど反応しなかった。また、酵素反応速度論的解析から、Km=125μM,Vmax=1000μmol/mg protein/minの値が得られた。 3)NADPH酸化活性成分のSDS PAGEから、この成分は約36kDaのみかけの分子量をもつ事が明らかになった。この36kDa蛋白のN末端アミノ酸はブロックされていた。そこで、内部配列を知る目的で、BrCNで処理してからSDS PAGEしたところ、約17と19kDaの2本の分解ペプチドバンドが得られたので、現在それらのアミノ酸配列を決定しつつある。ここで精製されたNADPH酸化成分はcyclicな光リン酸化反応に関与する新奇の蛋白である可能性が強いと考えている。
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