研究課題/領域番号 |
08838006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 文隆 東京大学, 医学部, 講師 (40194641)
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研究分担者 |
井原 康夫 東京大学, 医学部, 教授 (60114386)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / Presenilin2 / mRNAレベル / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
アルツハイマー病(Alzheimer′s disease:AD)は初老から老年期にかけて発症する進行性の痴呆である。ADの大部分は家族歴を持たないが、常染色体優性遺伝する家系が知られている。最近、第14および第1染色体上に存在するADの原因遺伝子が明らかになり、それぞれPresenilin(PS)1、PS2と名づけられた。ADの研究で重要なことは、塩基レベルでの点突然変異が両遺伝子間で保存されているアミノ酸で起こると、その変異を持つ者は100%ADになる点である。本研究ではPS2遺伝子とAD病変形成との関係を明らかにするため、ヒト組織でのPS2遺伝子発現をmRNAレベルより調べ、その結果をもとにモデルマウス確立を試みた。 PS2 mRNAは調べた限りの胎児、成人組織で広く発現していた。最も高い発現は胎児脳で、次がadrenal glandであった。PS2の発現レベルは、PS1遺伝子に比べて低く、1/5-1/10程度であった。すでに生化学的及び神経病理学的に解析した老人脳を用い、PS2遺伝子発現レベルとADに特徴的な二つの病変、β-amyloidとPHFの形成との関係を調べたが、明確な相関は認められなかった。このことはPS2 mRNA発現レベルより、アミノ酸変異がAD発症に重要な役割を果たすことを示唆している。 以上の結果をもとにモデルマウスの確立を試みた。常染色体優性遺伝する家系(Volga-German family)で見い出されたPS2遺伝子の変異(N141I)を有するcDNA、および変異を有さない(wild type)PS2 cDNAをβ-actin promoterの下流にそれぞれつなぎ、マウス受精卵に注入した。導入DNAを解析することで、ファウンダーを選別し、交配を行った。その結果wildおよびmutantともそれぞれ2系統ずつ確立することが出来た。これらのトランスジェニックマウスではいずれも、組み込んだ遺伝子が蛋白質に翻訳されることを確認している。今後、分子細胞生物学的手法を用いAD病変形成機構について詳細に検討する予定である。
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