研究概要 |
1.下垂体前葉細胞の増殖/新生:BrdU持続投与法を用いた実験では、下垂体前葉細胞の増殖率は、食餌制限(DR)開始初期を除けば、従来、報告されてきたように、単に抑制されてはいないことが示された(Shimokawa et al.,1997)。よって、下垂体前葉細胞の増殖、分化における成長因子のparacrine,autocrine作用に対するDRの影響を評価するためには、DR開始初期とその後の定常期に分けて研究する必要があると考えられた。 2.IGF-1,bFGF,TGFβ1の免疫組織化学:検索された年齢(6、24カ月)で、血中IGF-1レベルはDRによって有意に低下したが、免疫組織化学的にIGF-1陽性細胞を下垂体前葉細胞で同定できなかった。IGF-1type1受容体は、免疫組織化学的にはFolliculo-stellate細胞に一致すると考えられた。加齢、DRいずれによっても陽性細胞の密度、染色強度とも有意な変化がなかった。 試用できた数種類の抗体をもちいた下垂体前葉の免疫組織化学の範囲では、bFGF,TGFβ1は、下垂体組織切片上で特異的な反応性をえられなかった。現在オリゴプローブを用いたin situ hybridizationを行っているので、細胞レベルにおける成長因子mRNAの発現レベルを計測できると考えられる。 3.今後の展開:1で述べたように、DR開始初期の変化についても検討している予定である。
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