研究課題/領域番号 |
08838020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 利和 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (50128518)
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研究分担者 |
八田 慎一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60094223)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ヒト死後脳 / アルツハイマー型痴呆 / 情報伝達 / cAMP / 細胞内Ca^<2+> / アデニル酸シクラーゼ系 / ホスホリパーゼC系 / アミロイドβ蛋白 |
研究概要 |
病理診断により診断が確定しているアルツハイマー病と年齢と死後凍結時間とをマッチさせた対照群の死後脳を用いてcAMPシグナルカスケードに関連した蛋白質の検討をおこなった。 1、アデニル酸シクラーゼ(AC)の各種サブタイプの検討:(1)ウエスタンブロットに用いた抗体の妥当性の検討:相補的peptideによるpreabsorption実験からAC-Iの抗体がヒトのAC-Iに特有のアミノ酸配列を認識していること、組織分布の検討ではAC-I、AC-IIが主として脳に存在することを確認した。、AC-V/VIの抗体についてはラット標本から期待される分子量範囲にバンドを認め更にAC-VIを強制発現させたHEK230細胞膜標本で同様の位置にバンドを認めることから確認された。また対照群の頭頂葉皮質膜標本の各サブタイプ量のAC-I;ACII;AC-IV:AC-V/VI=11:1:1.3:1.4であった。(2)アルツハイマー病における変化:AC-I及びAC-IIは対照群に比べそれぞれ約40%,50%の有意の減少を認めた。AC-Vについては対照群との間に差が認められなかった。ACIV/VIについては増加傾向が認められた。 2、各種刺激下でのアルツハイマー病におけるAC活性の変化:(1)Ca^<2+>/カルモジュリン(CaM)存在下のAC活性:基礎活性、フォースコリン刺激、マンガン刺激性AC活性はアルツハイマー群において有意な減少を認めた。これらのAC活性はいずれもAC-I免疫反応性との間に相関が認められた。(2)Ca^<2+>/CaM存在下のAC活性:基礎活性、フォースコリン刺激、マンガン刺激性AC活性共にアルツハイマー群において有意な変化は認めなかった。 3、老人斑とシグナル伝達:老人斑の主要構成蛋白質であるAmyloidβ蛋白(Aβ)のfragment(Aβ25-35)をヒト血小板に添加すると細胞内Ca^<2+>の増加が観察された。またAβはヒト血小板においてIP_3を増加させた。 4、神経栄養因子:現在検討中でありアルツハイマー群でBDNFの低下が予想されるが発表には至っていない。 以上からCa^<2+>/CaM感受性のAC-I低下がシグナル伝達の障害を通じてアルツハイマー病の病態に関与していることが示唆された。
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