研究概要 |
急速に高齢化社会が進行している今日、骨粗髭症の効果的な予防法および治療法を早急に確立する必要がある。我々は、キサンチン誘導体からcyclic AMP-specific phosphodiesterase(PDEIV)に対する選択的阻害剤を誘導し、PDEIV阻害剤の新しい薬理作用として、in vitroにおいてもin vivoにおいても骨芽細胞を活性化して化骨形成を促進することを見いだした。この成果をさらに発展させて以下のような成果を得た。 1) キサンチン構造を電子論的に解析し、化学構造をデザインし、合成、試験した結果、既存のPDEIV阻害剤より強く、かつ選択的なPDEIV阻害作用を示す3,4-dipropyl-4,5,7,8-tetrahydro-3H-imidazo[1,2-i]purin 5-One(XT-611)を得た。さらにXT-611は100mg/kgを経口投与しても催吐作用を初めとする副作用を示さないことも確認した。 2) PDEIV阻害剤は、in vitroにおいてもin vivoでも、明らかな骨代謝改善作用を有するため新規な骨粗鬆症治療薬として有望であることを示した。 3) 骨組織には特有なペプチドのアミノ酸配列を詳細に検討した結果、これらにはいずれも酸性アミノ酸が集中している配列の存在することに着目し、種々検討を重ねた結果、アスパラギン酸(Asp)が6個連続した小ペプチドがハイドロキシアパタイトとの結合親和性が高く、骨組織集積性の高く、骨組織での滞留時間も極めて長いため、骨粗鬆症治療薬の骨組織ターゲッティングのためのキャリアーとして有望であることを示した。 4)ラット乳癌Walker256/Sは、自身がLH-RHを過剰に産生・分泌するため、宿主ラットは閉経状態となり、骨粗鬆症様骨変化を起こすことを明らかにした。従って、Walker256/S担癌ラットは、閉経後骨粗髭症のモデルとなること提示した。
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