研究課題/領域番号 |
08871044
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
杉山 晋作 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (30150022)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 指紋 / 作者 / 技法 / 埴輪 / 須恵器 / 土師器 |
研究概要 |
1. 目的と課題 土中から発掘される考古資料は古代史研究に新たな素材を提供していくが、その中に個人を特定できるものは僅かしかないとされてきた。しかし、考古資料には個人を特定できる指紋が残っていることがある。そこで、粘土を素材とするどの種類の考古資料のどの部位にどういう指紋が多く残るのかを調査し、残存指紋によってどういう課題が解明されるのかを指摘する。 2. 実施結果 千葉県の姫塚古墳で出土した40体の人物埴輪群像の復元作業における指紋検出を中心として、関東各地の埴輪や土器に残存する指紋の検討を行ない、主に次の成果を得た。 (1) 粘土を素材とする考古資料のうち、埴輪がもっとも指紋を多くかつ明瞭に残し、須恵器や土師器そして瓦は製作工程の一段階のものが残るにすぎない。近世の人形などにはよく残るが、焼き物には少ない。(2) 埴輪では部分製作や部品接合さらに乾燥場へ運ぶ段階の工人指紋が確認できた。須恵器は運搬、土師器は施文、瓦は切り離しと箆書き段階の工人指紋が残る。 (3) 栂指のほか示指や中指や環指の指紋が多く、小指の指紋は少ない。掌紋も見られる。また、右手だけでなく左手の指紋も見られた。利き腕の指紋と判断するには遺存部位と指方向による作業内容を把握しなければならない。 (4) 姫塚古墳の埴輪の製作については、同部位に指紋が残るものの指の使用法が異なるものは工人も異なり、工人が同じものは施文工具も同じであると確認した。また、指紋による指の使用方向の確定からは、これまで認識していなかった技法が存在したことも判明した。 (5) 技術交流については、茨城県北部の埴輪工人が埼玉県北部まで移動して製作にあたったと判断されるにいたり、認識していた範囲を越えた工人移動が行なわれ、遠隔地で類似技法が存在する背景を理解できた。 (6) 窯で生産品である埴輪の供給先については現在追跡中である。
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