研究課題/領域番号 |
08872001
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
林 信夫 立教大学, 法学部, 教授 (40004171)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 無名契約 / contractus / actio / ds at facias / 契約 / 方式書 |
研究概要 |
3年にわたり継続してきた無名契約contractus innominatus行為およびその類似行為に関わる文献史料の抽出作業は、一部未入手だったVocabularium iurisprudentiae romanaeなどのインデックスの取得により、その網羅的収集をほぼ終え、当該行為の主体、客体、地域、年代などの項目ごとのデータ・ベース化も終了に近づいた。また、碑文やパピルスなどの非文献史料からの抽出作業も、特にIVRAなどのインデックスを用いることにより昨年度に比較して格段にすすみ、同時にそのデータ・ベース化を進めている。 その結果、講学上4分類した上で6世紀に契約として一般的承認を得たといわれる無名契約のうち、do ut facias型の契約行為が、一方では限定的契約システムたるcontractus制度および訴権actioや方式書を前提とする訴訟制度との関わりで、他方では現実社会における多様な合意類型の登場・存続とその保護要求との関わりで、主として大都市を念頭において紀元後1世紀頃にまず法的承認を得たのではないか、という仮説の蓋然性が高まってきた。他の類型は帝政期が進すむ中承認の方向に向いていったと考えられる。その際忘れてならないのは、これら諸類型に含まれる合意は、そのとき初めて歴史上登場したのではないということである。すなわち、たとえばdo ut facias型の合意は、共和政後期にも存在し得たのである。しかし、その時期にこの合意が法的保護を受ける手段は、契約的なそれではなく、不当利得的な保護にとどまらざるを得なかったのである。したがって、本研究の論述のながれの一つは、合意の不当利得的保護から契約的保護への展開過程といっても良いかもしれない。
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