研究課題/領域番号 |
08873004
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久志 北海道大学, 経済学部, 教授 (00261272)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カントリーリスク / 海外直接投資 / 国際金融 / 国際金融貸付 |
研究概要 |
国際金融貸付および海外直接投資に関わるカントリーリスクの研究に際して、最も困難な、そしてcontroversialな点は、政治リスクを如何に定義し、債務不履行や国有化にいたるカントリーリスク・メカニズムを如何に定式化し、さらにそれを如何にして実証分析(計量モデル)のなかに取り込むかという点にある。 近年、民族・宗教紛争を軸とした地域紛争が激化してきている。しかしながら、これまでのカントリーリスク研究のなかでは、民族的な、あるいは宗教的なマイノリティの問題は明示的には扱われてこなかった。今年度の研究では、開発途上国58カ国、146のマイノリティ・グループをサンプルに、多変量解析の一つであるLogistic分析手法に拠って、グループ間の差異・差別、不満の背景、紛争を表象する諸々の変数に対しての分析を実施した。最終的には、政治リスクの発現形態を念頭において、共同体紛争モデル、抗議モデル、暴動モデル、反乱モデルを構築した。モデル推計によれば以下のようなことが知られた。例えば、暴動モデルではマイノリティ・グループ内のアイデンティティ・結束度が強まり、またdemographicな面でのストレスが高まれば高まるほど、暴動発生の確率が高まる。また、反乱モデルでは、マイノリティの自治権・独立権が侵害されればされるほど、本分析では最も過激な政治的示威行動であるテロ・ゲリラ闘争、市民戦争などの反乱が発生する確率が高まる。 今後の課題としては、例えばリスクに対する拮抗力としての法律、軍隊・警察権力などの影響力、また逆にマイノリティに対する差別・抑圧を吸収・緩和する社会・政治システムなどを勘案した、よりトータルなシステムのなかで、問題を再構築していく必要性などがある。
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