研究概要 |
4次元多様体全体を微分同相類を法として、3種類に分類するという研究の方向性が得られた。その3種類とは、折り目定値写像を許容する族、折り目写像を許容する族、そしてそれ以外の4次元多様体である。それぞれの族をI型,II型,III型と呼ぶことにする。本年度の研究では、I型に属する4次元多様体の微分同相類を基本群が比較的扱い易い場合を考察し、特に自由群の場面と曲面群の場合をほぼ完全に分類することが出来た。更に、複素曲面でI型に属するものの決定を試み、楕円曲面の場合に完全解が得られ、一般型曲面(小平次元2)に関しては、代数幾何学の方面で知られているものに関しての判別はわかったが一般には未解決として残った。この場合にも、いくつかの興味深い例が得られ、例えばモイシェゾン・タイヒャ-曲面は非常に多くのS^2×S^2の連結和に同相だがII型に属し、一方S^2×S^2の連結和はI型に属することがわかる。従って、I型とII型の判別は4次元多様体の微分構造と密接に関係する。Kahler曲面の場合も、一般型曲面の場合が不明であるが、これを除けばI型に属するか否かをほぼ完全に決定することが出来た。
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