研究概要 |
平成9年度は本科研費の援助のもとで4件の研究打ち合わせ国内出張,3件の研究発表国内出張を行った.また,新設のため計算機設備の乏しい自らの講座に数値シミュレーション用計算機1台を購入しアルゴリズムの数値実験を行った.以上の研究活動へのサポートを感謝する.この研究課題に関連して平成9年度には次の進展があった。 代表者による可積分系と線形計画法との関わりに関する一連の研究の延長上として,線形計画法における標準問題をRayleigh商の最小化問題ととらえ,可積分な勾配系の可積分差分による新しい内点法アルゴリズムの定式化を行った.拘束条件のない場合にはKarmarkar法より少ない計算量で最適解に収束することが確認された.この力学系はエントロピーをポテンシャルとするη測地線の方程式でもあり,内点法,可積分系,情報幾何の新しい接点を与えている.さらに,内点法の超離散極限,および関連する離散最適化問題を明かにした. 以上の研究成果は,平成9年7月23日理化学研究所で開催された「情報幾何ワークショップ」において「内点法・可積分差分・情報幾何」と題する講演,平成9年11月26日九州大学応用力学研究所で開催された「ソリトン理論の新展開研究集会」において「勾配系の可積分差分と線形計画法」と題する招待講演などとして公開された.九州大学応用力学研究所における講演記録は同研究所講究録に6ページのレポートとして収められる予定である.
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