研究課題/領域番号 |
08874040
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
松澤 通生 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10010943)
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研究分担者 |
日野 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (90228742)
渡辺 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60210902)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | クローン力 / 3体問題 / 長距離相互作用 / 超球座標 / 超球楕円座標 / エグゾチック原子系 / Wannierの閾則 / クーロンカ |
研究概要 |
原子物理学、物性物理学や化学の広い領域で電子相関の研究が基本的な問題として、従来から行なわれてきた。しかし未だその根本的な理解は得られていない。基本的には3体問題は非可積分系であり、解析解を得ることはできず、最終的には精度の良い数値計算から得られた情報から粒子間相関(原子、分子系にあっては電子相関)を支配する重要な物理的コンセプトを抽出することが必要である事に起因する。我々のグループで任意の質量比の3体系を取り扱うのに適した超球楕円座標系が発見され、任意の質量比の3体系の取り扱いが可能となった。これは言うなれば、技術的な意味でのブレイクスルーであるが、3体系の理論的研究にとっては非常に重要である。何故ならば、3体系は非可積分系であり、精度の良い数値計算の結果からのみ、これらの系を支配する物理的に重要な概念等の抽出が可能である。 以下にこれらを用いたこの研究班での主な進展について述べる。 1)2重連続状態の記述 2個の電子が連続状態にある場合は、特に2電子間の相関が重要なイオン化の閾値の近傍のその記述について我々の理解は不十分であった。水素原子の電子衝撃によるイオン過程において電子間の相関を完全に取り入れた閾則に対する完全に量子力学的な研究の枠組みを作り其の結果古典力学に基づくWannierの推測の検証を行い、2重イオン化状態におけるエネルギー分布は一様である事等を示した。 2)任意質量比のクローン3体系の構造 任意の質量を持つ3体系についての記述は上述の超球楕円座標により行う事ができる。クローン3体系の運動の記述において、特に1軽粒子-2重粒子系では、近似的には対称コマとして取り扱う事がよい近似である事が判った。これらはdtμ分子のようなexoticな粒子を含む系の取り扱いを可能にした。 3)3重励起中空原子への拡張 ここでは一般にN重動径励起状態への接近を可能にする性質が有ることを見いだした。即ち一般にN体の超動径Rは(N-1)体の超動径に対してゆっくり変化し断熱的に振る舞う事がわかってきた。この超動径の運動の階層性は一般に(N-1)体の超球座標による波動関数からN体の波動関数を構成する近似法を与える。これによりLi原子の2、3の3重励起状態について良い結果が得られた。
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