研究課題/領域番号 |
08874096
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 不斉反応 / 有機スズ触媒 / 光学活性ビナフチルスズ化合物触媒 / 不斉非対称化 / 光学活性モノカルバマート / モノカルバマート / エナンチオ / 絶対構造 |
研究概要 |
不斉反応においては不斉収率は反応温度が低いほど高く、反応温度の上昇とともに低下する。そしてある温度以上では選択性は消失する。我々は有機スズ触媒の研究の課程で従来の常識に反する現象を見い出した。すなわち光学活性ビナフチルスズ化合物触媒存在下2-置換-1、3-ジオールをイソシアナ-トと反応させると、いわゆる不斉非対称化が起こり光学活性モノカルバマートが精製する。その際、モノカルバマートの光学純度は反応温度の低下とともに減少し、ある温度を境にその旋光度すなわちエナンチオ選択性が逆転する。これよりさらに温度を下げると逆のエナンチオマーの割合が増加する。逆の絶対構造を有するスズ触媒を用いると全く逆の温度依存性が観察される。 この特異な現象に対して次の二つの説明を挙げることができる。 (1)反応の活性化自由エネルギーに対するエントロピー項の寄与が大きい。 (2)反応が多段階で進行し温度により律速段階が変わる。 現在のところ、どちらが正しいか判定するに至っていない。今後反応速度論を詳細に研究することにより明らかにする。 いまのところまだ用いる基質、触媒等についての情報が限られているが、いずれにしても本研究により見い出された温度依存性はこれまで触媒反応では全く知られていない現象である。これが一般化されれば不斉合成の分野に新局面を拓くものであり極めて大きなインパクトを与えるであるろう。その意味でこの崩芽研究を土台にしてさらに活発な展開を計る必要があろう。
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