研究概要 |
本研究はテトラヒメナの3種類のCa^<2+>結合蛋白質(分子量23,000と25,000のテトラヒメナCa^<2+>結合蛋白質[TCBP-23とTCBP-25]とカルモデュリン)の機能を解明することによって「Ca^<2+>が関与する生命現象がCa^<2+>結合蛋白質の分業体制によって制御されている。」という仮説を検証することを目的とする。本年度は以下のことを明かにした。 1.接合過程の突然変異体を用いて、TCBP-25が微小管と共存して配偶核の交換と核融合(受精)に関与していることを明かにした。 2.TCBP-23とTCBP-25は膜の裏打ち構造(エピプラズマ)に局在して116Kと130Kの蛋白質とCa^<2+>に依存して結合することを明かにした。116Kと130K蛋白質の精製を試み、エピプラズマをpH9.0の緩衝液で可溶化し、これらの蛋白質の精製に成功した。今後、TCBP-23、TCBP-25とこれらの蛋白質の相互作用を検討する予定である。 3.Ca^<2+>カルモデュリンに依存して機能するフォスファターゼ、カルシニューリンの阻害蛋白質であるFK506結合蛋白質をテトラヒメナより発見した。FK506結合蛋白質は免疫抑制剤FK506と結合するとカルシニューリンの機能を阻害し、免疫担当細胞の働きを抑えることが知られている。テトラヒメナにもFK506結合蛋白質が存在することは、この蛋白質が普遍的な生理機能に関与することを示唆している。この普遍的な機能を明かにするためにテトラヒメナを用いてカルモデュリン-カルシニューリン-FK506結合蛋白質が関与する生理機能を明かにしたいと考えている。
|