研究課題/領域番号 |
08874119
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 良一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90165837)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 骨格筋 / ミオシン / 重力 / 骨格 / ミオシンアイソザイム |
研究概要 |
水中から陸上への生活圏の拡大は脊椎動物の進化史上きわめて大きな出来事である。しかし、現在ではこの上陸過程で何が起こったかは全く不明である。本研究では両生類を用いて水中から陸上への適応的変化について特に皮膚と筋肉に注目して検討をおこなった。 アフリカツメガエルとアカハライモリを完全水中またはシャワーをかけながらスポンジ上で5ヶ月に渡り室温で飼育した。アフリカツメガエルは遺伝的背景を均一にするためアルビノ系統の同齢メスを用いた アフリカツメガエルの皮膚において、陸上で飼育したものは表皮下結合組織が水中のものに比べ2倍(背中169μmから278μm、腹140μmから270μm)に肥厚した。さらに粘液腺の密度も2倍(背中1.86個/mm^2から4.21個/mm^2へ、腹2.45個/mm^2から5.30個/mm^2)に増加していた。粘液腺と顆粒腺の直径は逆に水中のものに比べ減少していた(背中粘液腺の長径、145μmから87μm、背中顆粒腺の長径、522μmから335μm)。表皮の角化は水中のものに比べ促進していた。同様の傾向はイモリにおいても見られた。したがって陸上で飼育された個体の皮膚は乾燥に対する抵抗性が増す傾向を示した。 Gastrocnemius筋において速筋ファイバー(ラットの速筋ミオシン重鎖に対するモノクローン抗体N3.36に反応性を持つファイバー)が水中のものが61.9%であるのに対し、陸上のものが24.5%と減少していた。この結果は間接的ではあるが陸上生活により重力負荷が加わったため遅筋ファイバーの増加が起きた可能性がある。 このように現生の両生類を用いても陸上と水中の生活環境に対し皮膚と筋肉に適応的変化が生じることがわかった。この適応的変化を制御する機構が進化の過程で獲得されたものと推測される。
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