ナノメータ構造が得られる多孔質シリコンを陽極化製法により形成し、その後多孔質シリコンをメッキ溶液中でメッキするプロセスにより、ナノメータサイズのIV族半導体であるシリコンを金属が覆う構造を作成した。本研究では、メッキ金属としてインジウムを取り上げた。その結果、インジウムはシリコン基板-PSとの界面から、マクロスケールでは一様にメッキされることが、高速イオン散乱分光法により解析の結果判明したため、メッキ法による微細化シリコン膜中への金属の堆積は、スパッタ法等によるによる膜表面への堆積に比べ、膜内部により均一に行なえることが示された。しかし、透過電子顕微鏡観察によるミクロスケールの解析では、メッキされたインジウムは多孔質膜中に粒状に分散して存在し、その粒径は数nmから数百nmに分布していることが明らかとなった。また、その大きさはシリコンの微細化過程に依存し、多孔質中の微細孔の大きさが小さい程メッキされるインジウムの量は少なくなり、陽極化成中に光照射することにより微細孔の大きさを大きくすると、メッキされるインジウムの量は増加し、粒径も大きくなることが判明した。これは、光照射によるエッチングの促進と対応しており、インジウムは大きい微細孔に選択的にメッキされやすいことが示唆される。このようにして得られたインジウムメッキ微細シリコンは、インジウムが多く含まれる領域程自然酸化が明瞭に低減されることが分かった。このことより、インジウム金属による微細構造のキャッピングに基づくパッシベーション効果が存在することが示唆された。
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