研究課題/領域番号 |
08875010
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保立 和夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60126159)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 光トモグラフィ / コヒーレンス関数 / 半導体レーザ / 光周波数掃引 / コヒーレント光センシング |
研究概要 |
申請者は数年前より、干渉計において2つの光波がある特定の光路差を有する場合にのみ干渉できる手法を発明し、研究を進めてきた。本研究では、この「光波コヒーレンス関数の合成法」を3次元的な光反射・散乱情報に適応して、ある特定の2次元断面からの反射・散乱情報を選択的に取得する手法を提案、研究した。従来のトモグラフィでは、3次元物体の透過率情報を多くの方向から取得して、膨大な量のデータを計算機解析することにより、断層像を得てきた。これに対しこの発明は、純光学的に断層情報を直接取得するものであり、一切の計算処理を必要としない。機械的な可動部分等も皆無である。本年度の研究においてこの手法の実験系を構成し、機能の確認に成功している。 直接周波数変調特性を示す半導体レーザを光源とし、これをレンズにより拡大して3次元半透明・散乱物体に入射させる。この物体からの反射・散乱光と参照光とを2次元光ロックインアンプの入射面上で干渉させる。位相変調器を振幅πの矩形波で駆動することにより、物体光と参照光がビ-トを生じるようにする。この周波数と同じ周波数で正負に変化する電圧で2次元光ロックインアンプを駆動すると、干渉成分が作るビ-トの振幅に対応した直流強度が、つまり背景光を除去した干渉成分のみが2次元光強度情報として読み出し光(He-Neレーザ)によりスクリーン上に直接得られる。これが今回構成した実験系である。ここで光源の周波数を独自の波形により変化させ、参照光に対してある特定の光路差を持つ反射・散乱光のみがこの参照光と干渉できるようにする。つまり、ある特定断面からの反射・散乱光の2次元強度分布が直接スクリーン上に形成されることになる。しかもその断面位置は、周波数変調波形の振幅を変化させるだけで簡単に掃引できる。2次元光ロックインアンプ機能を浜松ホトニクスの特殊な空間光変調器で実現し、単純な3次元物体を対象にして基礎実験を実行し、任意の深さにおける2次元光情報を選択的に抽出することに成功した。これにより、本手法によって光トモグラフィ系を実現する基礎が固められたと考えている。
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