研究概要 |
本研究は,材料加工における水の役割に焦点を絞り,微細加工への適用の可能性を検討するものである.ハングリーウオ-タを得るために超純水製造装置に取り付けた脱気モジュールの脱気状態を調べるために,溶存酸素計で溶存酸素濃度を測定した.この測定結果をもとに,脱気モジュールの最適な設置箇所を決めるとともに,配管経路を最適化することができた. 溶存酸素を取り除いたハングリーウオ-タと材料との相互作用を検討するため,酸化物の代表としての石英ガラスを取り上げた.ガラスとハングリーウオ-タに相対的な運動を与え,表面に生ずる変化を観察しようとしたが,残念ながら現時点では相互作用の詳細を明らかにするには至っていない. そこで、水との反応性が指摘されているセレン化亜鉛を取り上げ,脱気超純水に浸して,セレン亜鉛が吸収する紫外光を照射した.その結果,照射部分だけに溶出が認められ,その溶出量は照射時間とエネルギー密度に比例した.これは,紫外光を照射することにより,局部的な高温状態が形成されこれが超純水と反応したものと解釈できる.局部的な反応を起こせたことは,微細加工への適用の可能性を示唆する結果と考えられる. この結果は,水があたかも化学薬品のように振る舞うことを示したもので,加工手段,あるいは機械加工における工具のようにも解釈できる.環境への負荷を減らすことが我々の使命でもあり,ここで水の特性を把握してその効果を利用しようとするのが本研究のねらいである.相互作用を明らかにすることは未だできていないが,環境に優しい水の材料加工への適用をさらに詳細を詰めていきたい.
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