研究概要 |
電場を印加すると顕著に粘性が増大する電気粘性効果(ER効果)を持つ非相溶高分子混合系におけるER効果発現機構を明らかにするための研究を行った.本研究以前には,粘度の低いジメチルシリコーン内にドロプレット状に分散した粘度の高い側鎖基を持った高分子が,電場下で電極間に架橋構造を作り粘度の増大が起こることがわかっていた.本研究では,ステップ電圧を印加したときの構造変化を科研費で購入した高速ビデオカメラを用いて観測すると同時に,ずり応力の測定も行った.その結果以下のことが明らかとなった. 1.電場印加直後にまず急激なずり応力の増大があり,その後ゆっくりとした増大が観測され,応力応答が2段階で起きていることがわかった. 2.電場印加直後に,ドロプレットは電場方向に伸び始める.この変形量は初期の段階では時間に比例し,その速度は印加電場の自乗に比例する.このようなドロプレットの変形に対応し,その剪断流下のずり応力も増大しており,第1段階がドロプレットの伸びに対応していることがわかった. 3.さらに,長時間にわたって観察を続けると,伸びたドロプレットが電極間に繋がって架橋構造を形成することが観測された.つまり,第2段階は架橋構造の形成に対応していることが明らかとなった.
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