研究概要 |
本研究では,水中を伝播する衝撃波を結石に集束し破砕する体外衝撃波結石破砕術に関係し,流体力学と固体力学の混合問題に対する数値計算手法を確立し、対応する実験的研究を行った.まず,固体中の応力波伝播現象を模擬するために,Elastodynamic Equationsに対し有限体積法を適用し,体積要素境界における流束ベクトルはGodunovの考え方に基づき決定する計算法を開発した.2次元矩形弾性体および任意形状の弾性体中の応力波のシュミレーションを行ない,計算で得られる波面がホイヘンスの原理に基づく波面と対応する事を確かめた.次に,気体力学シュミレーションのRoeスキームにより固体回りの衝撃波流れ場を計算し,固体表面圧力分布から固体内部の応力分布を求める方法で,強い衝撃波によって固体内部に誘起される応力波のシュミレーションを行った.更に,液体中の弱い衝撃波の挙動を模擬できる液体モデル方程式にRoeスキームを応用し,今回開発した弾性力学計算手法と連立することで,液体中に置かれたガラス円柱と衝撃波との相互作用のシュミレーションを行い,実験結果に比較できる結果を得た.最後に,無隔膜衝撃波管を利用して応力波伝播現像の実験を行った.衝撃波管の管端に接続した拡大管路にアクリル樹脂のブロックを固定し,アルゴン気体中に衝撃波を入射する事により弾性体中に応力波を伝播させ,ナノスパークを光源として,カラー・シュリーレン法により応力波面を可視化し瞬間写真撮影を行なった.今回の実験結果では気体中の衝撃波面と固体中の応力波面を同時に撮影することに成功したが,固体中の応力波の解像度についてはまだまだ改良の余地があることも分かった.
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