研究概要 |
ここでは,複数元素を直径反応させ,高融点無機化合物や金属間化合物を迅速かつ経済的に合成する燃焼材料合成法を研究対象とし研究が行われた.本研究においては,チタニウム・炭素・ホウ素の三成分からなる系を取り上げ,これらの粉末を用いて元素混合粉末圧粉体(直接10mm,長さ約30mm)を作成し,これを着火させるとともに,圧粉体中を自己伝播する燃焼波(火炎)に着目し,燃焼波伝播に及ぼす成分組成,非溶融二元素の粉末粒径,初期温度などの影響を実験的に調べるとともに,これらの実験結果をもとに,燃焼速度の増大や可燃範囲の拡張に関連した因子・要因の検討を行った.なお,試料として用いた元素混合粉末圧粉体は小型プレスを用いての加圧成形により作成しているし,粉末粒径に関しては可能な限り粒径分布範囲が狭いものを使用している.燃焼速度の測定実験においては,粒径が10μm以上の粒子を用いて,チタニウム,炭素,ホウ素の各粒径が燃焼速度に及ぼす影響の調査が行われた.これら三成分のうちで最も融点の低いチタニウム(融点約1950K)については,高温の燃焼波内で融解するため,チタニウム粒径が燃焼速度に影響を及ぼすことがないこと,次に融点が低いホウ素(融点約2550K)については,燃焼波内で融解するものの,チタニウムとの反応が液滴粒子表面で進行するため,粒径が20μm以上のホウ素粒子については粒径の増加が燃焼速度の低下を引起こすこと,溶融することがない炭素粒子については,チタニウムとの反応が粒子表面で進行するため,炭素粒径の増加が燃焼速度の低下を引起こすことなどが明確になった.粒径の増加にともなう燃焼速度の減少については,三成分の割合が同一であれば,ホウ素または炭素の粒径増加はチタニウムとの反応に関与する粒子表面積の減少を意味しており,このため燃焼速度の減少が引起こされるとの結論に達している.
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