研究概要 |
本研究は細胞性粘菌アメーバの柔軟性の高い行動パターン(自在変形運動)をモデル化することを目的として,平成8年度からの2年間を通して,生物学的知見の整理,アメーバの運動様式の数理モデル展開,シミュレーション実験を用いたモデルの検証,アメーバ様運動機能の自動抽出システム制作,の順で実施し,以下の成果を得た.平成8年度において,アメーバ様運動モデルとシミュレータシステムの構築を行った.アメーバモデルの構成要素間の通信のために,波動の場(波動場)を導入しシミュレーションモデルを構築し,運動パターンの生成実験行った.これにより, 1.波動場を用いた群情報処理メカニズムを構築し,その特性を明らかにした.この成果は「Distributed Autonomous Robotic System2」において論文Amoeba Like Grouping Behavior for Autonomous Robots using Vibrating Potential Field(Obstacle Avoidance on uneven road)として公表された. 2.相互通信の結果生じる組織的運動の様相の問題と,全体の流動性と局所的組織の様相との関係の問題が明らかとなり,この成果は雑誌「Journal of Robotics and Mechatronics」において論文Obstacle Avoidance Using Vibrating Potential Method(Self-Organization in a Narrow Path)として公表された. 3.情報処理機能を確かめるために組み合わせ最適化問題のベンチマークテストであるTravelling Salesman Problemに応用し,アメーバモデルの解探索の性能を確かめた.この成果は「Intelligent Engineering system through Artificial Neural Networks」において論文Vibrating Potential Field for Large Scale Traveling Sales man Problemとして公表された. さらに,平成9年度において 1.動画像処理によるアメーバ様運動機能の自動抽出法の構築を行い,その成果が「SMART ENGINEERING SYSTEMS」において論文EXTRACTION OF FLEXIBLE MOTION FROM SEQUENTIAL AMOEBA IMAGES,として公表された. 2.アメーバ様運動シミュレータシステムの構築とシミュレーション実験による自在変形運動機能の後天的獲得が可能であることも明らかにされており,その成果は,Fourth European Conference of Artificial Lifeにおいて,Constructing Amoeba-Like Behavior System : Mobile Automata in Vibrating Fieldとして公表された.
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