研究概要 |
1. 光ニューロ演算素子構成の検討 フォトリフラクティブ非線形効果を有するTi拡散LiNbO_3集束型光導波路の光伝搬特性を計算シミュレーションにより調べた。画像伝送の特性を点広がり関数(PSF)により空間領域において解析を行った。導波路の屈折率分布が画像伝送に対して最適な分布からずれると、モード分散により伝送画像が歪む。画像伝送距離、画像幅、SN比、および分解能に関して検討を行った。空間周波数が0.25μm^<-1>で幅が80μmの画像の場合、21本のインパルス画像を25.2mmの伝搬距離において全て分離でき、分解能は4μm程度と評価できる。 2. 導波型光増幅素子の検討 光信号の減衰補償及び閾値処理などの非線形演算に重要な働きをする光増幅素子の検討を行った。1.3μm帯と1.55μm帯において,Pr^<3+>及びEr^<3+>イオン添加ガーネット薄膜導波路を用いた光増幅器の実験を行った。結晶膜をRFスパッタリング法を用いて作製し,光学特性と分光特性を分析した。高速伝送及び信号処理において,様々な形を持った超短パルスなどの被変調入力信号を用いて,理論計算を行った。 3. 光機能性導波路における光波制御の検討 導波型光ニューロ素子において光信号の入出力特性を制御するために、3GHz程度の静磁表面波を用いた磁気光学効果による多重光波制御特性を検討した。Ceドープガーネット薄膜多層構造導波路により、これまでの素子に比べ結合効率を高め素子長を1/3以下の1cm程度まで短くできることを理論的に示した。また、100MHzから2GHz程度の弾性表面波による音響光学効果を用いて波長多重光を選択制御できることを実験的に確認した。さらに、多重電磁波による多波長光の非線形相互作用に関して時間的なダイナミック特性を理論的に検討し、相関処理等の信号処理への応用を示した。フォトリフラクティブ効果等により屈折率分布を制御し、人出力結合特性を変えられることを示した。 4. 光ニューラルネットワークの理論解析に関する検討 ニューロ動力学を用いて超並列な情報処理を有する連想記憶型ニューラルネットワークの安定性および信頼性について検討した。特に,ネットワークの安定点を偽安定点と非偽安定点に分類し,それらの点におけるネットワークの統計特性を数理解析により明らかにして,リアルタイム的な偽安定点の検出条件を導出した。また,光バンドルファイバを用いた空間二次元CDMA通信において連想記憶により誤り訂正を検討し、良好な誤り訂正特性を有することを理論解析及びシミュレーションにより確認した。
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