研究概要 |
本研究では,光源を検出器として利用する計測法とし、半導体レーザーを用いたレーザー・フィードバック顕微鏡および、微小球プローブを用いた走査型摩擦力顕微鏡に関する研究を行った。 前者については、レーザー・フィードバック顕微鏡を用いた試料の観察を行い,試料の反射率分布および3次元構造に対する応答の計測を行った.本顕微鏡は,半導体レーザーおよびレーザーを集光するレンズのみで構成されている.試料からレーザーへの戻り光により,レーザーが誘導放出されるためレーザーの発振状態を測定する.この原理により本顕微鏡では試料の凹凸を観察することができる.本顕微鏡は,構成が簡単なだけでなく,レーザーの射出光が微少であるため共焦点顕微鏡におけるピンホールと同等の効果つまり光軸方向の分解能を持つ.我々は,本顕微鏡を用いて集積回路の凹凸の計測に成功した.さらに,半導体レーザーを閾値電流以下で駆動した場合,光軸方向の応答が向上することも実験的に確認した.実験では,閾値電流以下で半導体レーザーを駆動した場合,その光軸方向の分解能は閾値電極以上で駆動した場合の約4倍に向上した. レーザー放射圧により制御されたプローブによる走査型摩擦力顕微鏡については,その摩擦力を実験的,理論的に求めた.本顕微鏡では,レーザー放射圧により微粒子が捕捉されることを利用し,その微粒子をプローブとして用いている.捕捉されている微粒子は,試料の摩擦力あるいは粘性力等によって捕捉位置からわずかにずれるこのずれ量を測定することによりpNオーダーの摩擦力あるいは粘性力等を測定することができる.この際プローブとしては金属微粒子を用いる.微粒子を捕捉している場合金属微粒子近傍には非伝搬の電磁場が局在しており,試料表面を走査すると試料の形状によって局在場が散乱される.この散乱光強度を測定することにより,試料の形状を測定することができる.本手法の特徴は,微粒子はpNオーダーの力で捕捉されていることから,生体試料を傷つけることなくその表面形状を計測できることである.
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