研究概要 |
断層などに見られる粘土のせん断帯について,形状,幅,発生間隔,方向,大きさという特性に注目する.特に,構造地質学的研究成果と粘土のせん断帯の観察結果についての比較により,せん断帯の幾何学的な相似性は,スケールの違いによらずきわめて強いという印象を得ている.これを格子点解析法という解析により,定量化する試みを行った.このような変形パターンの類似性すなわち,フラクタル性は,材料特性よらず,ある一定のパターンがあることが高度な数学的検証により明らかにされてきた(分岐解析). しかし,せん断帯に関する力学的・数学的解釈は研究途上にあり,理論的研究により出される結論や仮定の正しさを検証する定量的観察結果やこれらの背景を意識した実験的研究はほとんど行われていない.この研究は,地質学と地盤工学にまたがる「地文学的」研究であるとともに,力学的な破壊現象の研究に貢献するものであるが,いまだ未解明な点が多い前例が少ない萌芽的研究である.特に断層との幾何特性の類似性ならびに破壊力学を用いた解釈など今後とも検討すべきことは多くあると感ずる.
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