研究概要 |
本研究は,都市のにおい環境が都市計画者および住民にどのように意識されているかを調査し,においの内容の分類,その分布,季節変動などスメルスケープの構成要因を明らかにし,それらによって都市の計画概念としてのスメルスケープを操作的に定義し,その記述方法を示すことを目的としている。 本年度は,これからの都市の配置計画に「におい」を生かしていくため,実際に都市の中で生活している人々を対象に,都市の中にある「におい」がどのように認識されているかを把握するために調査を実施した。 (1)調査対象地の選定 まず,昨年度行った都市計画担当者を対象としたスメルスケープに関する意識調査の結果および立地条件等を考慮し,スメルスケープの面からも環境が豊かである「函館市」を対象地として選定した (2)アンケートによる住民の意識調査 アンケート調査は,投函により市内各住戸(約800戸)に配布し,後日郵送にて回収した。アンケート項目は以下の通りである。 (a)都市の「におい」および「音」環境の問題意識 ・ポジティブな面:地域のアイデンティティを示す伝統的な地場産業,自然地理的条件などから発する好ましいと感じる「におい」や「音」の存在と分布 ・ネガティブな面:公害として意識される交通など好ましくないと感じる「におい」や「音」の存在と分布 (b)時代による都市の「におい」および「音」環境の変化の有無 以上の調査から,現在の都市環境における「におい」の問題点を整理し,都市の計画概念としてのスメルスケープの構成要因を明らかにした。
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