研究概要 |
本年度は、初年度の研究において新たに存在が確認されたLa-Na,La-KおよびLa-Rb系M型フェライトを高体積分率で合成するための最適組成および最適焼成条件を確立すること、ならびに新たな希土類含有M型フェライトの合成を試みることを目的とし、以下の結果を得た。 (1)La-K,La-Rb系M型フェライトの最適組成と最適焼成条件 X線リ-トベルト解析および磁化測定より、各希土類含有M型フェライトを高体積分率で得る最適の条件は以下のとおりであった。 ・La-Na系 組成:(La_<0.5>Na_<0.5>)O・4Fe_2O_3,焼成条件:1573K-3時間大気中後急冷 La-K系 組成:(La_<0.7>K_<0.3>)O・5Fe_2O_3,焼成条件:1573K-3時間大気中後急冷 La-Rb系 組成:(La_<0.7>Rb_<0.3>)O・6Fe_2O_3,焼成条件:1573K-3時間大気中後急冷 この焼成条件により、各フェライトとも90%以上の高い体積分率が達成された。なお、アルカリ金属の焼成中の蒸発を抑制するためには、ペレットを同一組成の粉末で覆うことが有効であることも確認された。 (2)新規希土類含有M型フェライトの探索 新たな希土類含有M型フェライトの探索を試み、La-Zn系においてアルカリ金属およびアルカリ土類金属を含有しないM型フェライトの存在が見出された。その組成および焼成条件は以下のとおりであった。 ・La-Zn系 組成:LaZn_<0.5>Fe_<11.3>O_<19>,焼成条件:1573K-50h×3回 この新規希土類含有M型フェライトは、従来M型フェライトの安定な合成には不可欠と考えられていたアルカリ金属およびアルカリ土類金属を全く含有しない点、および非磁性のZnイオンがフェリ磁性のマイナ-スピンサイトに入る可能性があり従来のM型フェライトの磁化を超える可能性を有する点で注目される。リ-トベルト解析の結果、50hの焼成と粉砕を3回繰り返すことによりLa-Zn系M型フェライトの体積分率は96%に達することが明らかとなった。
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