遷移金属錯体触媒を用いるポルフィリンジインの重合による、ポルフィリンが1-プテン3-イン構造で連結された共役ポリ(ポルフィリン)合成のモデル重合反応として1、4-ジエチニルベンゼンの重合を先ず検討した。重合触媒としては上記共役ポリマー構造を効率よく与え、かつ生成が容易な系を選ぶ必要がある。 RuCl_3・3H_2O触媒によるフェニルアセチレン-ジエチルアミン-CO_2からのエノールカルバマート生成反応においてPBu_3配位子を加えるとエノールカルバマート生成が抑えられ代わりにフェニルアセチレン二量体である1、4-ジフェニル-1-ブテン-3-インが効率よく生成することからRuCl_3・3H_2O-2PBu_3がフェニルアセチレンの二量化触媒となることが示唆されている。 この示唆に基ずきRuCl_3・3H_2O-2PBu_3触媒による1、4-ジエチニルベンゼンの重合を行ったところ不溶性ポリマーや低分子量のポリマーが得られポリ(1、3-エニン)の生成は僅かであることはわかった。そこでRuCl_3・3H_2O-2PBu_3触媒によるフェニルアセチレンの二量化反応を新たに再検討したところジエチルアミンとCO_2の共存が必要でRuCl_3・3H_2O-PBu_3-フェニルアセチレン-ジエチルアミン-CO_2系が1、4-ジフェニル-1-ブテン-3-インを効率よく生成するという結果を得た。したがってRuCl_3・3H_2O-PBu_3-ジエチルアミン-CO_2系から生成する真の触媒活性種の解明とその新しい触媒による1、4-ジエチニルベンゼンそしてポルフィリンジインの重合という興味ある問題が次の研究課題として明らかにされたことになる。
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