研究課題/領域番号 |
08875189
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮村 一夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40157673)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 金属錯体 / 液晶 / 分子会合 / ニッケル / アルキル鎖 / 金属-金属結合 / X線構造解析 / salen / CH-π相互作用 / 会合 / 単分子膜 / 構造解析 |
研究概要 |
本研究ではCH-π相互作用による特異な構造を有する会合体からなる液晶性金属錯体であるsalen系のニッケル錯体に不斉炭素を導入し、その物性を探求することを目的とした。まず、アルキル側鎖のα位に不斉を導入した配位子を合成した。得られた錯体は直鎖アルキルの場合と同様に単分子膜の崩壊圧が大きいことから、CH-π相互作用が存在するものと考えられる。しかし、中性錯体であるため光学分割はうまくいかなかった。 次にsalenのエチレンジアミン部分を光学活性なプロピレンジアミンに換えたsalpnの錯体を合成した。この錯体のラセミ体及び光学活性体ともに単結晶が得られ、X腺構造解析を行い結晶構造を決定した。その結果、いずれの場合も分子構造はsalenの場合と同様であり、導入したメチル基はアキシャル配向していることが判った。salpnはいずれの結晶中でも二量体を形成しており、結晶パラメータなどは両者でほとんど差異がなかったが、ラセミ体では光学活性体とは異なりラセミ対の二量体となっていた。溶解特性もほぼ同様であったが、二量体の構造はsalenの場合と著しく異なっていることが判った。salen系の錯体ではアルキル基のα位とγ位のCHとπ電子系の間にCH-π相互作用が存在し、0.5nmずれた形の二量体を形成するが、それにメチル基が入っただけのsalpn系では中心金属イオンのニッケル同志が約0.33nmと接近した二量体構造をとることが判った。一方、光学活性体では全体に螺旋を巻くことが期待されたが、得られた結晶は層状結晶で螺旋構造は見られなかった。以上、今回の研究ではsalpn系の錯体でNi-Ni相互作用を見出すことができた。
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