研究概要 |
本年度は、生物活性の面から最も興味がもたれる1,4-アンヒドロ-2-(9-アデニル)-2,3-エピアミノ-2,3-デオキシ-D-リビトール(A)の合成研究を行なった。D-マンノース(1)を出発原料として、1,4-アンヒドロ-D-マンニトール(2)とし、これを5-O-ベンゾイル-D-キシリトール(3)へ変換した。さらに、3を2,3-ジ-O-トシル体(4)としナトリウムアジドと反応させ、1,4-アンヒドロ-2-アジド-5-O-ベンゾイル-2-デオキシ-3-O-トシル-D-キシリトール(5)を得ようとしたが、2,3-ジアジド体(6)がかなりの量で生成し、Bを収率良く得ることができなかった。そこで、3のモノ-O-トシル化を試みたところ、目的とする2-O-モノトシル体(7)を80%という高収率で得ることができた。7をナトリウムアジドと反応させ、2-アジド-D-キシリトール体(8)とし、これをトシル化することによって、アデニンと反応させる基質1,4-アンヒドロ-2-アジド-5-O-ベンゾイル-3-O-トシル-2-デオキシ-D-キシリトール(B)を良い収率で得た。Bとアデニンを申請者が見い出した反応条件で反応させたところ、それぞれ約10%という低収率ではあるがアジリジノアデニン(9)、(10)を得た。9、10のベンゾイル基をはずし目的とする遊離のヌクレオシド11、12を得た。11、12は^1H-NMRおよびMASSスペクトルにより目的とするアジリジノヌクレオシドであることは明らかとなるが、7-位、9-位の異性体の決定は11、12とも260nm付近に9-位置換アデニンと同じUV吸収をもつため、UVからはその構造を決定することができなかった。また、NMRでも構造を決定することができず、現在、良い結晶を作りX-線結晶解析によって決定することを検討中である。11、12の生物活性は現在試験中である。
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