研究概要 |
電荷重畳法の特徴は3次元領域の扱いが極めて容易であることから,眼球の網膜部分の形状を模倣して受光部を半球面であると想定する.全体は,立体をその半球面で覆い散乱光や反射光も全て3次元空間の複雑な光挙動として球面で受光するという状況を考える.受光面上には光受容体が密に存在し,それぞれが光刺激を受けて興奮する.その興奮レベルは光刺激によって異なる.その各受容体の興奮は神経に伝えられ次の系へ送られる.その間にある種の信号変換がなされるものとする.この系は電荷重畳モデルを用いることによって比較的容易に処理系が構築できる.個々の受容体を境界点とみなし,出力は半球面で覆われた空間の適当な場所にある仮想内点の例えばポテンシャルレベルとして取り出すことができる.平成8年度は,電荷重畳法をカーネルとするソフトウェアおよび半球面上に49個のフォトセンサーを配し,球面上に投影された影をその球面上でそのデータを一挙に電荷重畳網膜で信号変換してノンパラメトリックな特徴量を取り出す実験システムを開発した.最終年度の平成9年度は電荷重畳網膜の特性を明らかにするため実際の3次元物体を用いてテストを行った.フォトセンサから取り込んだ物体の信号をノンジオメトリックな特徴量として変換し,その特徴量と実際の物体との対応付けをニューラルネットワを用いて行った.3次元形状を認識することを実験の目的とし,直方体や三角錐などの物体を網膜上の様々な位置および角度にセットし取り入れられた信号をニューロの入力しと,用いた物体の形状および大きさをニューロの出力とした.また,実際の自然物としてナスやミカンなどの農産物の認識実験も行った.実験結果は極めて良好で学習を完了したニューロを用いて物体の認識実験を行った結果,画像処理を必要としない本システムの立体認識が極めて高速で正確なものであるかが明らかとなった.
|