研究概要 |
1. 塩基配列の決定 成長ホルモン(GH)・プロラクチンファミリー(PRL)のGH,PRL,胎盤性ラクトゲン(PL)そして、ソマトラクチン(SL)の9種類のプライマー(アヒル(du)GH,トリ(a)GH,ニワトリ(c)GHl,cGH2,cGH3,cPR、ウシPL,サケ(s)SLl,sSL2)を設計した。mRNAは1-2週齢のフランスカモの膵臓と下垂体から抽出して、GH様cDNAの増幅を逆転一発RT-PCR法で行った。その結果、膵臓mRNAからのGHcDNAの増幅はできなかった。しかし、下垂体mRNAからはduGH,aGH,cGHのプライマーでGHcDNAの増幅が成功した。フランスカモのGHの塩基配列はアヒルとは3個所異っており、アミノ酸配列も1個所異なっていた。 2. 成長ホルモン様物質の免疫組織化学法による同定 フランスカモ膵臓のA細胞に局在する成長ホルモン様物質(GHL)をGH・PRLファミリーに属する抗GH、抗PRL、抗PL、抗SLの抗体を用いて免疫組織化学的に調べた。その結果、フランスカモの膵臓のA細胞はこれらの4種類の抗体にいずれも陽性だった。また、GH抗体では抗ヒトGHによく反応したが、抗ニワトリでは弱く、抗ラット、抗ウシ、抗マグロ、抗ヒツジ、抗ブタのGH抗体には反応しなかった。 以上の結果よりフランスカモの膵臓のA細胞に局在するGH様物質は、GH-PRLファミリーの共通のアミノ酸配列をもつと考えられる。それゆえ、GH-PRLの祖先型のプライマーの設計やGH・PRLファミリーの共通のプライマーなどの設計が必要と考えられる。
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